61歳、教習所へ。自覚と挑戦

会社員時代から親しくしていただいているお客様から、

「時間があるならツーリングに行こう。バイクは差し上げるので、早く免許を取りに行きなさい」

と声をかけていただきました。

退職後の自分に、これといった趣味も予定もなかったこともあり、かなり自問した末、自動車教習所に入校することにしました。

取得するのは普通自動二輪免許。
免許を取得したら乗るバイクも、すでにそのお客様から譲っていただくことが決まっていました。

退職した私を気遣ってくださったお客様に、背中を押していただいたのだと思います。

入校したのは7月26日。

バイクの取り扱いから始まり、実車による教習を重ねました。

第一段階では、スラローム、一本橋、クランク、S字など、これまで経験したことのない課題に取り組みました。

その中でも、私が苦労したのが一本橋でした。

幅30センチほどの細い台に乗り、7秒以上かけて渡ります。

乗れない。
落ちる。

何度繰り返しても、うまくいきませんでした。

台に乗ることが難しく、アクセルを開けることにも怖さがありました。

結局、第一段階では3時間の延長。

なかなか先へ進めない自分に、年齢を意識させられる時間でもありました。

それでも、練習を重ねるうちに、いつの間にか一本橋への苦手意識はなくなっていました。

一方で、最後まで自信を持てなかったのがクランクです。

なぜパイロンに触れず、倒れずに抜けられているのか、自分でもよくわからない。

毎回力が入り、最後まで苦手意識は消えませんでした。

第二段階に進むと、公道を想定した法規走行が中心になります。

ここでも、思うようにいかないことがありました。

ウインカーです。

自動車では、ハンドルを戻せばウインカーも自動的に戻りますが、バイクでは自分で戻さなければなりません。

私は何度も戻し忘れました。

教官の間では、

「遅い、出さない、戻さない」

の三拍子が揃っている、と話題になっていたそうです。

自分でも苦笑するしかありませんでした。

そして迎えた卒業検定。

苦手だったクランクで脱輪し、失格。

やはり簡単にはいきませんでした。

それでも教官の方々は、根気強く指導し、励ましてくださいました。

2回目の卒業検定。

今度はなんとか合格することができました。

指摘されたのは、ウインカーの戻し忘れが一度だけ。

61歳になってからの教習所通いは、思っていた以上に自分の体力や反応の衰えを感じさせるものでした。

同時に、できなかったことが、練習によって少しずつできるようになる喜びもありました。

卒業の際、教官から、

「大型免許の教習で待ってますよ」

と声をかけていただきました。

大型免許を取るかどうかは、まだわかりません。

ただ、61歳になった自分に、まだ「次」がある。

そう思えたことが、今回の教習所通いで得た、いちばん大きなものだったのかもしれません。

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