海外で暮らすということは、語学や文化に慣れる以前に、自分の「暮らし方そのもの」を問い直される時間でもありました。
韓国で過ごした6年間は、決して特別な毎日の連続ではありません。
仕事をして、食事をして、疲れて帰る。
そんなごく普通の生活の中で、少しずつ「整えたほうがいいもの」と「手放していいもの」が自分なりに見えてきました。
これは、韓国での暮らしを通して気づいた、日常を無理なく続けるための、小さな整え方の記録です。
2014年、桜が満開の春に、私は韓国に赴任しました。
赴任初日、偶然にもアパートから数百メートルの場所で映画の撮影が行われていました。
場所は麻浦大橋。
『アベンジャーズ』の撮影でした。
生活を始めるために家電が入り、何気なくテレビをつけてみると、そこではアニメ『ワンピース』が放送されていました。
画面に映る麦わらの一味が着ているTシャツのロゴが、たまたま、私の勤めている会社のイニシャルと同じ。
日本で放送されていた頃には、まったく気づかなかったことです。
アベンジャーズの撮影も、ワンピースの放送も、どちらも「たまたま」に過ぎません。
それでも、その偶然が重なった瞬間、この国に迎え入れられているような気がしました。
せっかく始まった韓国での生活。
プラス思考と感謝の気持ちを忘れずに過ごそう。
そう思えた、最初の日の記憶です。
