韓国での仕事を振り返ると、
自分には決定的に足りないものが多くありました。
ハングルは流暢ではなく、
市場理解も浅く、
現地で積み上げた実績も、まだありません。
では、何ができたのか。
その答えのひとつが、
礼状を書くことでした。
酒席の翌日、
前夜の振る舞いを思い返しながら、
お詫びと感謝を言葉にして書く。
うまい文章ではありません。
けれど、自分の立場を整理し、
出会いの機会に対して、誠実でありたいと思っていました。
当時、韓国の官製はがきは270ウォン。
日本円で25円ほどでした。
25円で、
「昨日はありがとうございました」
「お時間をいただき感謝しています」
という気持ちを、全国どこへでも届けることができる。
その手軽さと重みの両方に、
何度も救われました。
礼状を書くことは、
相手のためだけではなかったのだと思います。
自分は何者で、
どこに立っていて、
何に感謝しているのか。
それを一通一通、
自分自身に確認する作業でもありました。
社業に直接貢献できる力がまだなくても、
感謝を形にすることはできる。
翌日に書く一通が、
不安の多い駐在生活の中で、
自分を支えてくれていたのだと思います。
